短編
□花宮の場合
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コレとコレとコレとコレの続き
『…今回も何かある気がする。』
いつものように部室の扉の前に立って、そう呟く。まぁある程度予想はできてるけどね!
『…やっぱりか。』
扉を開けて中に入ると子供が立っていた。麻呂眉の子供。どこからどう見てもちっちゃい花宮です本当にありがとうございました。
…って、現実逃避してる場合じゃない。
『ねぇ、君…。』
「あっ、すいません!えっと…信じてもらえないかもしれませんけど…ボク気づいたらここにいたんです!わざと入ったわけじゃないので許してください!」
話しかけた瞬間、花宮はそう言って頭を下げた。…猫被り発動中か。
まぁ確かにこの状況なら猫被って良い印象を与えた方がいいもんね。そして適当に話を合わせてここから抜け出す作戦だろう。さすが花宮、ズル賢い。
『とりあえず怒ったりしないから安心して?えーっと、できれば君の名前を教えてくれないかな?その方が話しやすいと思うし…。』
ニコッと笑ってそう言うと、花宮はホッと息をついた。どうせ演技だろうけど。
「ボクは花宮真といいます。お姉さんは?」
『真くんだね。私は苗字名無しだよ。気軽に名無しって呼んでね。』
「なら、お言葉に甘えて名無しさんって呼ばせてもらいますね。」
コイツ固っ苦しいな。
『うん、よろしくね!ところで真くん、聞きたいことがあるんだけどいいかな?』
「何でしょうか。」
『猫被り、疲れない?』
そう尋ねると真くんは一瞬固まった。これぐらいで固まるなんてやっぱり子供だね。…あれ?この前花宮も普通に固まってたけどなんでだっけ?うーん……思い出せないから別にいいや!
「猫被りって…何のことですか?」
首をこてんと傾げて聞き返してくる。誤魔化すことにしたのか。というかコイツ子供の可愛さを分かってやがる…!中身はアレだが外見は可愛い…!
『そのまんまの意味だよ。真くんの喋り方、堅苦しい。どうせ猫被るんなら、もう少し子供らしさを出した方がいいんじゃないかな?』
そう言うと真くんが笑い出した。こわっ。