一夜限りの戯(ユメ)
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※『帰る場所』の続き
※ちょい裏
※何でもOKな人向け
※旦那がいろいろ喋る












雪の原 涙を拭う 白衣
まだかまだかと 待つ春の梅











目が覚めた時、目の前にあったのは白い雪だった。
白くて暖かいように見えて、とても冷たい雪。
私はその雪原に横たわっていた。
身体を動かそうとすると全身打ち身にあったかのように激痛が走った。
何だ、私に何が起きたというのだ。
起き上がろうと手に力を入れると、自分は何かを握っているのを知った。
手を見る。
そこには松葉色の布で包まれた梅の香りがする匂袋だった。
「う、め…?」
私は何とか身体を起こし、周りを見た。
全く知らない場所だった。
後には絶壁があり、その真上には崖があった。
私はあそこから落ちたのか?
どうして?
何故、此処にいるのだ?
何の為?
ぼんやりとした思考で考え事をしていると何処かで声が聞こえた。
たき、と聞こえる。
誰を捜しているのだろう、と思った。
最初、その名前が誰なのか本当にわからなかったのである。







これが今に続く私の苦悩の始まり。
ある人と出会う五年前のこと。
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