帰る場所 前
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※『梅の香りがする先に』の続編です
※卒業後捏造
※嫁がにょた
※旦那がちょっと乱暴
※暗いです
※若干、三木滝
※ドロドロの序盤
※自己責任でお願いします
※何でも許せる心の広い人向け





















学園生活最後の冬、私は周りに騙された。
それは自分が就職有力候補だったのもある。
最後まで決められずにいたのもある。
どうしようかと今更になって迷っていたのもある。
卒業すれば、私は大事な人を置いて学園を去らなくてはならないから。
まだ許される時間の間、私は出来る限りのことを彼女にするつもりでいた。
やり残すことは数え切れないぐらいまだいくつもあったのだから。
もっと愛してあげよう、もっと優しくしよう、もっと幸せにしよう…と。
しかし、その時に学園から課せられたのが、とある城の城主の護衛だった。
それは今思うといつまで経っても就職先を決めない私に痺れを切らせてやった余計なお節介。
私にはちょっとしたアルバイトだと言って置きながら、その裏で学園はもう逃がさないとでも言うかのように裏で上手く手を回していた。
私がその城に行くと、突然実力を試すかのように面接試験が行われた。
何も知らされていない私は無意識に対抗していると、気がつけばその試験に受かってしまっていた。
そして、告げられたのが
「事情は学園から聞いている。今日からお前を此処で雇わせてもらう」
という城主からの言葉だった。
聞いた途端、寒気がした。
「学園がお前の私物は後日送ってくれるそうだぞ」
抜け出す術は一つもなかった。
学園が何を言ったのかは知らないが、私は無理矢理”卒業”させられたのは間違いなかった。
私の中に大きな喪失感が生まれる。
記憶限り、私は滝に最後、何て言い残しただろう。
確か、学園を出る前
「ちょっとした用事だからすぐに帰るよ。その時にお前に言いたい事があるんだ」
と言った気がする。
忘れもしない。
あの時、滝は
「いつまでもお待ちしておりますから」
と穏やかな笑顔出返してくれた事を。
嗚呼。
嗚呼。
私は…
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