酔っても独占はします
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※上級生(四〜六年)がお酒を飲みます
※未成年はお酒禁止だよ!
※昔は十五歳前後で元服、つまり成人とみなされたそうなので今回の設定はあまり深く考えないで下さい
※過去の日記から生まれたネタ
※要は嫁に甘える旦那が書きたかった
※那楽の中では旦那は酒好きでもすぐに酔うタイプだと思っている














全ては一人の発案者の一言から始まった。
「いい酒買ってきたんだ、飲もう! 皆で!」
何本にも及ぶ酒壷を掲げて、小平太が言った。
最初は六年の間だけのささやかなものになるはずだった。
しかし、
「六年だけではつまらん。適当に後輩も混ぜたらどうだ?」
という如何にも何かを考えていそうな仙蔵の意見も加わってついには四年、五年も入った酒宴が先生に隠れて行われた。
と言っても本当の事を言えば小平太が買ってきた酒の量が多いため、消費しやすいように呼んだようなものだった。
最初は全体で飲んでいたものの気がつくと学年でわかれて、ちみちみと飲むようになった。
「滝、飲まないのー?」
喜八郎が一人でぐいぐい、と飲んでいく様を唖然として見ていた滝夜叉丸は突然、声を掛けられてハッと我に返った。
「いや、私は少しで構わん。あまり多く飲む気になれない」
「えー、何でぇ?」
「あのなぁ、そうやって飲んで最後にお前を部屋に運ぶの誰だと思っているんだ?」
半ば呆れるように言った滝夜叉丸の言葉に喜八郎は即座に
「滝」
と答えた。
それを聞いてさらに滝夜叉丸ははぁ、と深い溜め息を吐いた。
「まぁまぁ、滅多にお酒飲めないけど、自分なりに楽しんで味わえればそれでいいんだよ。ホラ、あそこで寝ている三木ェ門君もそうじゃん」
隣にいるタカ丸が横に徳利を四本転がしながらもニコニコといつもの笑顔で言う。
その向こうでは猫のように丸くなって寝ている三木ェ門がいた。
こんな状況でまともにお酒を飲んでいないのは四年の中では自分だけ。
滝夜叉丸はまた深い溜め息を吐いた。
ふと向こうを見ると、小平太は楽しそうに酒を飲んでいる。
つまらないと思っているのは自分だけか。
そう思うと滝夜叉丸は少しだけ淋しく感じた。
気を紛らわそうとちびちびと慣れない味を口に含み、舌鼓をした。
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