壱
□そこに求めるもの
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嫌がる滝夜叉丸の着ている寝巻きや下帯を容赦なく剥ぎ取れば、汚されていないであろう白い柔肌が晒された。
滑らかに見える肌だった。
暴れる足はすぐさま押さえて動けないようにしてゆっくり腰をなぞれば、敏感に滝夜叉丸は逃げるようにして身を捩らせるが、小平太は逃がしはしないと胸の飾りを抓ったり、舐め上げればくぐもった小さい喘ぎ声がした。
「あ、滝。今の気持ちよかったのか?」
答えなど返る事ない一方通行の問いを小平太は行為を続けながら言った。
それに滝夜叉丸は少しながらも甘い疼きに襲われる。
「ふ……んんっ…ん」
正直に言えば初めての行為に戸惑いつつもそれに感じている自分がそこにはいた。
身体のあらゆる所を触れられる度、小さな痛みと共に伴う淡い快感に感じてしまい、下半身に疼きが少しずつ集まっていく。
「滝、先ずは此処を解かしていこうな」
その時指先で撫でられた秘孔。
瞬時に滝夜叉丸は今からする先の事を思い浮かべてしまった。
小平太が小瓶から液を手の平に流す。
それが軟膏と知るのに時間は掛からなかった。
ぷつ、とゆっくり濡れている指が入れられた。
嫌だ、嫌だッ!
と、心で叫んでも小平太へは届かず、躯を捩じらせても声にならない悲鳴を上げても無駄だった。
漸く指が一本入ったかと思えば、二本、三本と指が無理矢理入っていく。
「やっぱ初めてだからキツイな」
と、小平太は言いながらも指は蠢き、中を探る。
「んーッ…んんッ…ッ」
バラバラに動く指に苦痛しかないこの行為に滝夜叉丸はついに涙を流した。
何故、と滝夜叉丸は思った。
小平太先輩は嫌いじゃない、寧ろ…
だけど、これは何だ。
「もう少し我慢して。気持ちよくあげるから」
見たことない顔で言う先輩。
違うッ、私の知っている小平太先輩はこんなんじゃない!
滝夜叉丸は頭の中で巡る思考が段々現実を否定しようとしていたその時、苦痛とは違う快感が走り、今までは違う声を上げてしまった。
「ここ?」
異変に気付いた小平太はさっき部分を狙うかのように指でそこをまた撫でていく。
「ふぅッ!…んぅ!」
また甘い声を上げる。
それを聞くと、小平太は
「あぁ、やっと見つけた」
と、笑って指をやっと抜いた。
突然、指が抜かれる所為で秘孔は今まで埋まっていたものが無くなる感覚に襲われ、ひくついた。
だが、すぐにまた…
今度は指とは違い、熱いものが宛がわれた。
「一緒に気持ちよくなろうな? 滝」
滝夜叉丸は背筋が凍るような恐怖に襲われた。
まるでうっとりするような顔で今からする事を楽しみにしている小平太がもう別人に感じられたのだ。
本当に?
本当にする気なんですか?
待って下さい!
せめて、せめてこの口だけは解いて下さい!
こんな形で繋がりたくないんです!
虚しく思いは届かず、指とは比べ物にならない程異物感と苦痛に襲われた。
しかし、躯とは敏感なもので意思とは沿わず、それを快楽と受け止め、白濁の液が流れる。
とろり、と液が滝夜叉丸の腹の上から零れ落ちていく。
「何? 滝はこんなので感じたの?」
自己の解釈で事を良い方向でしか考えられずにいる小平太は笑いながら滝夜叉丸の腰を掴み、より自身を深く入れようとした。
だが、思っていたよりそれはうまく入るわけなく、小平太は若干無理矢理の形で全部入れた。
「滝」
愛おしそうに滝夜叉丸の頬を撫でる。
目元が赤くなるまで泣く顔。
それは嬉しいのか、辛いのかもうわからない。
ただ…
嗚呼、私は滝と繋がっているんだ。
夢まで見た喜びが、嬉しい気持ちがふつふつと湧いて堪らなかった。