花王を称えよう
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※旦那達による旦那達の嫁自慢
※旦那達変態警告
※言い出したら切りがない
※先が見え見えのオチ
※あ、ちょ、逃げろー!
















 昼間、長屋の軒の下。
 文次郎と留三郎はいた。
 恐ろしい、というより珍しい組み合わせ。
 二人揃えば、喧嘩に花が咲くのが通常なのだが、今見る限りそんな様子は見えなかった。
「お前さー、よく仙蔵とかといられるよな」
 突如、同情か、はたまたは感心とも取れる言い方で留三郎は言った。
「はぁ?」
 何を今更、と文次郎が言う前に留三郎の言葉が続く。
「仙蔵ってさ、かなりドSじゃん。後、気難しいし、口キツイし。一緒にいて疲れないか?」
 それを聞いて、文次郎は内心笑った。
 あぁ、何だ。
 こいつは本当の仙蔵をまだまだ知らないんだな、と。
「甘いなー、お前は」
 小馬鹿するような顔で文次郎は笑った。
「な、どういう事だよ!」
「お前の言っている仙蔵は表の顔って事だ。それよりも俺はお前が伊作といる方がもっと不思議だな」
「何だとお前ぇ!」
 自分が言った言葉をそっくりと返された留三朗は思わず声を上げた。
 もっと言うと自分を馬鹿にするように言う文次郎が気に入らなかった。
「伊作は確かにいい奴なのは俺も知っているぞ? しかし、あの不運はどうにかならないのか? 一緒にいれば、必ず何かと巻き添えを食らうし、気を抜けば、いつ新作の薬の実験台にされるかわからないし、後俺が怪我した時に限って手当てしてくれる所か保健室に追い出すしな」
「おい、追い出されるのはお前が毎回鍛錬で怪我して来る所為だろ」
 留三郎の突っ込みがなかったように受け流し、文次郎の話は尚続く。
「それに比べて仙蔵はまだいいぞ。普段はあぁだが、二人きりの時とかは思いの他甘えてくるし、後何だかんだ言って結構言いたい事を言ってくれるしな。あ、そう言えばこの間の夜なんか」
 文次郎はかく語る。
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