壱
□それは己を守るが故に
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※こへが、滝が、いちゃいちゃしています
※低学年の頃の滝の捏造部分あります
※何だかんだでこへは滝の理解者希望
滝夜叉丸は顔立ちが綺麗だ。
女顔と言ってもいい。
しかし、それによって一年、二年の頃は苦労していた。
恐らくそれは滝夜叉丸だけじゃなく、今の四年生の一部もそうだろう。
今の四年生は見目綺麗な奴が多い。
ただでさえ日常に男しかいない隔離されているかのような学園。
色を知っている奴等で下級生に手を出すことは頻繁にある。
滝も夜になると一人で恐る恐る上級生の長屋へ歩くことはよくあった。
その顔で気弱な上に拒絶の意思も弱いのが、祟ったのだ。
その時の私は当時の滝があまりにも弱弱しくて見ていられなかった。
同情かもしれない。
可哀想に思ったからかもしれない。
思わず
「もう行かなくていいぞ、おいで」
と、ある日通り過ぎそうになった滝を呼び止め、自分の部屋へ招き二人静かな夜を過ごした。
ただ一緒に寝るだけ。
少しでも楽にさようと思ったつもりだったのに、ぐすぐすと滝は
「どうしよう」
と、簸(ひ)たすら泣いていた。
まだこの学園を知らない一年にとって先輩は逆らえないものだったのだ。
仕方ないとは思いつつも頭を撫でて
「滝、嫌なら嫌と言えよ? そうじゃないと誰もが良いと思ってしまうから。今すぐにとは言わない。少しずつでいいから、……自分の言いたい事を言える自分になってみたらどうだ?」
と、あの時私は言った。
これがまさか、後の滝のぐたぐたな言い草に繋がるとは思ってもみなかったが。