リクエスト
□君に振り向いて欲しくて
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※ちょっぴり不器用な双忍はお好きですか?
※紳士であるが故に天然タラシな三郎
※恥ずかしがり屋で素直じゃない雷蔵
いつも僕が何かをしていると決まって君が来る。
「雷蔵、手伝おうか?」
それが嬉しく思いつつも何処かで気に入らない自分がいて、
「いや、いいよ。僕一人で出来るから」
と言って強気になってしまう。
「いいのか? 結構重たそうに見えるけど」
確かに君の言うとおり。
僕の手にはいくつもの書物を抱いている。
重いに違いないけど、しんどいほどでもない。
だから、別に君に頼らなくても大丈夫。
うん、大丈夫。
「平気だよ、じゃあ僕は行くから」
笑顔で返すも次の声を待たずにすたすたと僕は三郎を置いて図書室へと急いだ。
どうせ君の事だから、またああやって誰かに声を掛けるんだろ?
図書室の戸を開けると、そこには誰もいなかった。
しかし、ハッと思い出す。
今日の当番、僕一人の日だった。
嫌でもはぁ、と深い溜め息を吐いてしまった。
この後、間違いなく三郎は来るな。
そう思うと、先が思いやられた。
三郎は手伝いをすると言いつつも、どっちかというと遊びに来ているようなもの。
委員会の仕事として真面目にやっている雷蔵とは違っていた。
時たま、図書室でふざける時があるので雷蔵からしてみれば困った問題だった。
あんまり来なければいいけど。
そう願いつつ、雷蔵は腕に抱いた書物を書棚に入れる作業を始めた。