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ログ(ななまつ家)
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※ななまつ家クリスマスver
※おい、こら旦那っ!!
※記念日をちゃんと覚えている嫁
※珍しく今回はちょっぴり切ない系









『初キス記念日』







今日はクリスマスイブ。
テーブルの上にある一本のキャンドルが仄かな灯りを燈している。
向かいにある椅子は空席。
そんな滝から見る光景の目の前にあるのはクリスマスプレゼントらしく包装紙で包まれた箱があった。
貼り付けてある札には≪小平太さんへ≫と書かれている。
中身はこの日の為に編んで作った緑の手編みのマフラーに新しい腕時計。
何故腕時計か。
何でもこの前体育の授業で腕時計を壊したらしく、今は腕時計無しで職場に行っていると聞いたから。
滝ははぁ、と小さく溜め息を吐いた。
もう晩ごはんもお風呂も済ませた。
何もすることがなく、夫も今はいない。
その時、ふと先日の事を思い浮かべた。
12月のクリスマス手前の頃。
「わ、悪い、滝。イブなんだけどさ。職場の忘年会と重なってしまったんだ。えっと、だからさ」
「なら、そちらへ行ってあげてください」
「で、でもさー、あー滝と二人っきりのイブがー」
「そう言ってますが、もう既にクリスマスに休暇を取っているじゃないですか」
「い、いいのか? 滝」
「えぇ、楽しんで行ってきて下さい」
その時は良妻賢母らしく夫の背中を押して、忘年会に行かせることにした。
本人はあまり乗り気じゃないような感じだったが。
高卒である自分は職場というのが正直どんなものなのかがわからない。
だが、忘年会は職場の交流に当たるものだということは想像ついた。
なら、行かせるべきである。
自分はいつでも夫と一緒にいられるのだから。
しかし、やはり一人でいるというのは淋しいものだった。
いつもなら夫といる時間帯なのに今日は珍しく一人。
「小平太さん…」
呼ぶように呟くように言っても返事は返って来ない。
どんどん、気持ちが切なくなってきた。
本当の事を言えば、出来れば今日一緒に過ごしたかった。
だって、今日は記念日だったのだ。
初めてキスをした、記念日。
ぽた、ぽたと頬から雫が落ちていく。
「ひっく…ふ…」
そこには静かに泣いている滝がいた。
目の前にある箱を手に取り、ぎゅっと抱き締める。
そして、時計を見れば10時を回っていた。
本当は帰ってくるまで待っているつもりだった。
あぁ、でもこんな顔見せられない。
滝はそう思い、小さく泣き啜りながら寝室へと入った。
ベッドの中に入っても気持ちが落ち着くわけでもなく、淋しさが余計に募っていく。
布団が冷たいのだ。
一人に二人用のベッドは大きすぎて。
何かが足りないと気付く度に涙が止まらなくなっていった。
「ふっ、…こへ、い、たさん…、こへいたさん…」
布団を被り、丸くなって涙も泣く声も隠そうとしたが、外からは微かに声が漏れていた。
どれくらい泣き続けただろう。
夢中に泣き続けたのもある。
暫くして、突然駆けてくる足音がして何だと思い、身を起こすと布団が捲られた。
「滝!」
いつも聞く声が聞こえ、苦しいほどにぎゅうと抱き締められる。
「滝、……ただいま」
感じるのは優しく言う声と温もり。
「こ、へいたさん…?」
滝は確認する。
自分を抱き締めているのは間違いなく自分の夫だった。
「ごめんな、滝。一人淋しかったんだよな?」
そう言って小平太は滝の頭を撫でた。
「ど、どうして」
「帰ってきたら、声が聞こえるんだもん。わかるよ」
嬉しい。
さっきまで淋しかった気持ちがあっという間に暖かい気持ちに変わっていく。
ぎゅっと小平太の服を掴み、滝は小平太の胸に顔を埋めた。
小平太も察してか、滝が泣き止むまで優しく抱き締め、時には長い髪を撫でた。
大好きな温もりを感じられることの幸せと安心するような安堵感を感じながら滝は暫くしてやっと泣き止んだ。
そして、大分落ち着いた頃。
「小平太さん」
と、滝は言った。
「ん?」
「今日は何の日かわかりますか?」
「え? どういうこと?」
「今日は初めて貴方が私にキスをしてくれた日なんですよ」
小平太の腕の中、滝は見上げるように小平太に言うと、本人は一気に顔を赤くし、顔を片手で覆った。
「お、覚えていたのか?」
「えぇ」
「ったく滝は意地悪だなぁ、それは反則だよ」
小平太は頭を照れくさそうに掻いて、言うと滝を押し倒す。
「こ、小平太さん?」
「淋しくさせたお詫びだよ」
そして、小平太は愛しの妻に優しいキスをした。
この後の続きは夫婦二人だけの秘密。









今夜も七松家は幸せいっぱいです。














++++++++++
リクエストネタでしたぁああ!
輪様!す、すいません!
折角のネタが撃沈しましたような気がしてなりません!
気に入りませんでいたらいつでもご報告して下さい!
まぁ、正直那楽は楽しかったです←
にやにやでした。
もう最後は幸せになるのはお決まり!
以上、那楽でしたっ
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