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ログ(ななまつ家)
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※ななまつ家
※シリアスでごめんなさい!
※よ、よめぇえええ!









『膨らむ疑惑』








結婚して二年が経った。
やや恥ずかしい話であるが、もう子どもが一人出来ていてもおかしくない月日である。
なのに、七松家にはまだ子どもがいない。
それには少し深い事情があった…








ソファに座って滝はぼんやりと体温計にも似た検査器具を見つめた。
それは妊娠しているか、していないかを見るものである。
結果は四角い枠にしか線が浮かんでなかった。
本来、妊娠していれば隣りの丸い枠にも線が浮かんでくるはずなのだが、いくら時間が経ってもそこに線が浮かぶことはなかった。
「また、か…」
溜め息交じりの呟きが虚しくその場に染み渡る。
何度、この検査器具と睨めっこを
しただろう。
滝はぼんやり考える。
本当なら、もう…もうお腹に赤ちゃんがいてもおかしくないのに。
ここの所、不安で仕方がなかった。
もしかして、自分は…子どもの、出来ない身体じゃないのか、と。
お願いだから、それだけは…
切なる願いを胸の奥で祈った。
何故なら、赤ちゃんを誰よりも待っているのは自分と自分の夫なのだから。
「赤ちゃん、出来るといいなー」
穏やかな表情で小平太が滝の腹部を優しく撫でる。
「まだそこにはいませんよ」
検査をしているのだから知っている。
そこには一つ命さえ宿っていない。
「そうかなー」
「そういうものですよ」
「でも、楽しみだな」
笑顔で話してくれる旦那の明るさが嬉しくも少し辛かった。
本人は気付いているだろうか。
自分の妻の身の異変に。
何せ体育教師だ。
保健についても詳しい。
「な? 滝」
お願い、気付かないで。
切実に滝は思った。
時間の問題かもしれないが、それでも滝は今の時間を守りたかった。
たまに不安に駆られるのである。
これをきっかけに愛想をつかれたらどうしようとか、今の幸せが壊れたりしないだろうとか。
「はい」
明日は旦那が仕事に出たら、真っ先に病院へ行こう。
不妊症かどうかを確かめに。
そう思った滝だった。








今回は珍しく七松家の嫁は不安定です。






++++++++++
最初で最後かもしれないななまつ家のぷちシリアス編。
まぁ、もうちょっと待って下さい。
こんな時こそ旦那の男を見せなくては!
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