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ログ(ななまつ家)
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※ななまつ家
※成人式ネタ
※旦那は心配性
※犬の気持ちじゃありません。旦那の気持ちです。








『旦那の気持ち』







「滝ー、行くよぉ?」
滝を呼ぶのは友人である三木と綾。
此処は成人式の式場。
多くの人混みに紛れながらもそこには賑わいの活気がある。
「あ、うん。では、行ってきます」
「うん、行っておいで。滝」
小平太はそう言って、滝の晴れ姿の後姿を見送った。
あぁ、もう二十歳になったんだなぁ。
小平太は改めて思う。
ぼんやり眺めていると、ぽんと背中を叩かれた。
「おい、小平太。何しているんだ」
後ろを向けばそこにはお隣の住人であり、同級生の文次郎がいた。
「文次郎」
「あいつらはあいつらでやっている。俺達もどっかで暇を潰そう。仙が暇だ、暇だって煩いんだ」
文次郎が首でくい、と後ろを指した。
その先を見れば、文次郎の妻・仙が車の中で腕を組み、じっとこっちを見ているのがわかった。
あの顔は不味い。
多分、苛々している。
「おー、あれは確かに」
「近くのファミレスでも喫茶店でもいいから行かないか」
「そうだな」
二人は足並み揃えて車へ向かった。
「てか、文次郎は大変だな。実の妹に義理の妹の成人式がダブルで来ているなんて」
「実質上、面倒見ている俺からすれば大変だったな。妹らは着物の柄がー、とか言うし、仙なんか意味わからんこだわりでまたいろいろと言うし」
「うっわ、キツイ」
「そっちはどうだったんだ?」
「ん? 私?」
「何もなかったのか?」
「いやなんて言うのかな、着物は義母さんから借りたし、なんだかとんとん拍子に物事が進んであんまり苦労したって感じしなかったな」
「羨ましい…」
「でも…」
少し間を置いて小平太は呟いた。
「ちょっと淋しかったな」
「というと?」
文次郎は問うた。
「ついこの間まで滝は高校生だったのに結婚して一緒に過ごすようになって、二年に経ったと思ったらもう成人式を迎えて…、なんだかあっという間だなっと思ったんだ」
小平太の言葉の直後に深い溜め息が漏れた。
「お前の口からそんな言葉が出てくるとはな」
「失礼だな。でも、私は本当にそう思ったんだ」
なんかと思えば惚気話じゃねぇか、と文次郎はふつふつと思った。
「なら、その分幸せにすればいいじゃねぇか」
ぼりぼりと頭を掻いて文次郎が言うと、横でえ…という引くような声がした。
見ると小平太が遠い目で文次郎を見ていた。
「…なんか文次郎が言うと気持ち悪い」
「黙れ」
「まぁ、そうだな! 幸せにするのが一番だよな!」







――これからも滝をいっぱい幸せにしてあげよう!
そう小平太は思った。






今日も七松家の旦那さんは嫁一途です。



++++++++++
滝の友達である三木と綾は文次郎と仙の妹です。
つまり、七松家は同級生と隣同士で住んでいるという^^
文次郎は小平太の数少ない理解者です。
お父さんっ
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