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ログ(妖怪パロ)
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桜が散る。
はらはら、と。
酒が杯に流れていく。
とくとく、と。
軒の下。
そこには頼光と四天王達がいつもの如く酒盛りをしていた。
空には叢雲に隠れず光る月。
「いい眺めだな」
頼光が言った。
その言葉通り、見事な花見、月見だった。
「全く変な夢を見るなんて最近疲れてんのかなー」
金時が深い溜め息を吐いて酒を飲む。
その飲み方は豪快で杯に注がず、そのまま瓶を口につけ、一気飲んでいく。
ついさっき金時と貞光、そして季武は妙な夢を見た。
頼光に何かあった夢なのだが、それがよくわからない。
とにかく大変だった夢という感じがある。
しかし、今ここに頼光はいつも通り顕在しており、ほろほろと酒を飲み、豆腐を食べている。
三人は揃って変な夢だった、とつい先ほどまで言い合っていた。
「季武、ああいう飲み方は絶対するなよ? 身体に毒だからな?」
それを見ていた貞光は嫌そうに秀武に言うと、
「あ、はい」
秀武は素直に言う。
「私の夢か……」
頼光はぼそり、と呟いた。
実感の無い頼光は不思議な気持ちで杯の酒を見つめた。
ふと思う。
杯に映る揺らめく月のように自分もいつかあっという間に死ぬのだろうか、と。
その時、誰かが自分を引き寄せた。
人の肩に埋まる。
誰だ、と見上げるとそこには綱がいた。
「頼光くん、僕はずっと君を離さないからね」
綱が頼光の頭を愛おしく撫でる。
猫が主人に甘えるように甘く優しく。
嗚呼、気付かれたか。
頼光は苦笑いをした。
「今更な事を」
「へへへ、だって大好きなんだもん」
綱は嗤った。
妖しく、誰にも気付かれないように。
まるで一度狙った獲物は二度度逃がさないとでも言いた気に。
その目は金色に光っていた。







〜09/8.10

++++++++++
深くは語りません。
ネタバレしかねないので。
とりあえず、こんな形でまた外伝書いてみたいなと思う那楽でした。
次は誰書こうかな?
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