※学生ぱろ・別体別人・夏・事後




教室の天井を見つめながらけだるくも遊戯は体を上げる。
今日は一段と暑苦しい。

正直こういう日に体を重ねあうのは好きな方ではなかった。
汗でのベタベタ感が凄まじいし、かといって家じゃないから上着は着たままでいなくてはいけないしで。
遊戯の中を夏特有の倦怠感が襲う。
ぼやーとした意識の中でふとアテムの方へと振り返る。
アテムはと言えばこの蒸し暑い中平然な顔でさっきの行為で汚してしまった机をティッシュで黙々と拭きあげている。
最初はアテムのその動作を朦朧とした意識の中で追いかけていたが、
アテムが拭い取っているブツが彼自身のものでは無く自分自身のものだと遊戯は思い出し、一気に体温が上昇する。
遊戯はすぐさま立ち上がりアテムの隣へと歩み寄った。アテムが遊戯の存在に気付き声をかける。

「どうした?相棒、座ってろ 体まだだるいだろ」

彼なりの気遣いに一瞬気持ちが揺らぐが、

「い、いやだってそれボクが汚しちゃったものだし…ボクが掃除するよ 君こそ座ってて」

ティッシュを掴んでいるアテムの手の平に自分の手を置く。
僕がやるからとティッシュを預かろうとしたその時だった。
自身の手が一瞬にしてアテムの手の中へぐるりと収められ体をぐいっと引っ張られる。

一気に彼の顔が近くなって。

案の定唇を塞がれて言葉を発せなくなるほどにぐりぐりと舌を舌で弄られる。
甘ったるい息遣いが蒸し暑い教室に立ち込め始めてまたも意識が遠くなり始めた頃、唇がスッと離れ
彼を見つめる遊戯の視線が自然と艶かしいものへ。足に力が入らずガタッと体が傾く。

がアテムの腕の中で体ごと支えられたので倒れるまでは至らなかった。
「ほらな、無理しない」

彼の言葉を耳に聞き入れた途端我に返った遊戯はキッと視線を潤んでいたものから鋭いものへと変える。
そんな遊戯の視線にアテムは気付いたが大して気にする事も無く遊戯を近くの椅子へと座らせ、床に脱ぎ捨ててあったズボンを拾い上げ遊戯に渡す。とりあえず履けとぼやく。遊戯はブスッとした顔で

「…ずるい」

一言。

「また襲っちまうぜ?」

アテムの言葉にビクッと身を震わせわたわたとズボンを履き始める遊戯の姿。
純粋に可愛いなとアテムは思う。
抱きしめたい衝動に襲われるが。その衝動をアテムは理性という感情で押さえ込んで。
気付かれないよう表情を緩めず、教室の端に置いてあるゴミ箱へと体を向けさっきまで机を拭いていたティッシュのくずを投げ込む。
小さくガタンッと音を上げ見事にティッシュはゴミの中へ。小さくガッツポーズ。
その後ろ姿を遊戯はズボンのベルトを締めながらだがさりげなく見ていて。

「変な所で可愛いよね。もう一人のボクって。」

ニコッと遊戯があどけない顔で笑う。
アテムはそのいきなりすぎる言葉に戸惑いを覚えぎょっと体を震わせた。


「…俺が可愛いは無いだろう相棒… …」

「えー可愛いよ?もう一人のボク可愛い」

クスクスと遊戯は可愛い可愛いと連呼する。
これがわざと言ってるものではなく本気なのだから困ったもので。
アテムは複雑な心持でとりあえず遊戯の言葉を塞ぐ。

「分かった。分かった。ありがとな相棒。だがそんなに連呼されるといくら俺でもちょっとな…」

「照れくさいの?」

「いやそういうわけじゃ…」

「?変なの」


言葉が詰まる。数秒の沈黙。アテムは口を開く。




「…相棒 アイス食いに行くか?」

「!!!!行く行く!」

分かりやすい。キラキラした視線がこちらへと一気に降り注ぐ。
…可愛いのはお前だ。相棒…



教室の鍵を閉め廊下へ足を踏み出す二人。


「今日は俺の奢りな 相棒」

「え!そ、そんないいよー」

「俺がお前に奢りたいだけだから気にしなくていいんだぜ?」

「いや…でも」

「いいから、今日は無理させすぎたしな」

「!!?」

「ほら行くぜ」

「―――――――――ッ!もう…!沢山食べてやる!」

「腹壊すなよ 相棒」クスクス


外から聞こえてくる蝉の鳴き声で包み込まれている廊下の中、二人の会話と足音だけがいつまでも鳴り響いていた。


過去PCのブログに載せた話でつ。文才ある方が羨ましい\(^O^)/



[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ