小説館
□バスが着くまで
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おいおい。
21才になった瞬間は夢の中か?
怒られん様に静かに席を立つ。
後ろの席一列占領するジュンジュンを
ぐいぐい押し退けてそこに座った。
『ハッピーバースデー、ジュンジュン』
誰よりも先に言いたくて
あーしの肩に乗ってきたその頭を
そっと、撫でた。
故郷を離れて、しかも国境越えてやで
出逢えた事をあーしは誇りに思う。
毎年こうして誕生日を過ごしたい。
・・・出来れば、起きててほしいけど。
バスが東京に着くんはきっと朝。
それまでは起こさず隣におってあげよう
夢の中でお祝い出来たらいいな。
ジュンジュンに体重を預けてから、
あーしはゆっくり、意識を手放した。
END