テニスの王子様(短編)

□マジナイ
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大好きだった。
ずっと一緒にいる約束をした。
でも、君はあの日からいなくなった。

最後に見たのは俺だった。

毎年、同じ日に聞こえる声。


          1人は寂しい。
           1人は嫌。
       約束したのに…どうして?




―マジナイ―




9年前、幼馴染が行方不明になった。
何時も遊んでいた森の中で、さほど大きくない森で金持ちの子供ということで身代金目的の誘拐だと思われたが犯人からの連絡もなく、手がかりさえなく、気がつけば9年の月日がたっていた。

毎年、あいつを最後に見た森にある社に花を置く。
あいつが好きだった黒い百合の花。


今年も同じように夢を見て、同じように花を置きに行く予定だった。
突然、立海との練習試合が入り、クラブが終わったのはすでに夜に近い時間だった。
先輩達や樺地、鳳はどうやら外食をすることに決めたようだが、俺は1人家に戻った。


クラブの途中、監督に許可を取り家に連絡しておいた。
玄関には14本の黒百合の花束が置かれていた。
白百合ではなく黒百合。
制服から着替える時間も惜しかったので財布と携帯。
そして黒百合だけを持ってタクシーに乗った。
後ろに跡部先輩の車がついてきているが無視だ。


「着きましたよ」


運転手の声に目的地に着いたことに気付く。
お金を払って、そこで待ってもらうように告げた。
空にはすでに月が真上に来ていた。

タクシーに背を向けて目の前の森に入った。

暗い森を歩く。
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