弐
□SaKuRa's birthday
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辺り一面満開の桜
真っ青に澄み渡り
雲一つない青い空
若々しい葉々たち
針葉樹と広葉樹の
小さな小道にある
小さな小さな教会
その小さな教会で
今日結婚式がある
主役の花嫁は季節相合の桜色の髪をしていた。
もう一人の主役の花婿は長い紺色の前髪を後ろに撫でつけ真っ白なタキシードで花嫁を抱きしめる。
誓いの言葉で愛情を願い
誓いのキスで永遠を決めた
真っ赤な道のサイドには祝福を眺める親しい友人たち。
花嫁のブーケトスが未婚女性の大乱闘へと発展させた。
それを少し離れた安全な場所で花嫁と花婿、そして二人にとって大切なあの彼と三人で笑った。
祝福の言葉の雨を受けながら二人はコレから凱旋パレードだ。
なんたってうちはの生き残りと五代目火影の愛弟子の結婚式なんだから。
パレードに向かう車に乗り込む前に撮った写真は色褪せることがない美しい景色と笑顔、そして幸せが詰まっていた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆
「…っていう夢をみました。」
そうか。と一言だけ返ってきた。
サクラは3月28日、今日も火影室の掃除やらなんだと火影付忍者として仕事をしていた。
ナルトが無事火影になり、サスケが帰還し里が元に戻り、忍界に再び平和が訪れて数年。
サクラとサスケは二人揃って問題児なトコは抜けきらなかった火影ナルトに付く忍びとして平和な木ノ葉の里を三人で見守っていた。
今日はナルトは朝から行方不明
探しに行くのも億劫で大概の火影の仕事をサスケがこなしていた。
そんな二人きりの会話のない空間で突然サクラが切り出し、冒頭から、にいたる。
(あれ、私たち、付き合って何年?)
サクラは指折り数えた。
既に片手は半周した。
そしてガックリと肩を落とした。
「……なんだ。」
「…正夢にって思っただけよ。」
見かねたサスケは二度溜め息をついた。
そして作業の手を止めてしまった。
「…なら、正夢にするか?」
ムードもなにもないサスケの一言。
サクラは唖然とする他ない。
「…また、夜にしよう。この話は。ほら、問題児が帰ってきたぞ。」
一匹の問題が返ってきた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆
夜、いつ予約したのかそこそこ良い値段のする料亭にサクラは連れて行かれた。
滅多に繋ごうとしない手を繋ぎサスケに引っ張られている。
「今日、誕生日だろ。おめでとう」
「…あ、ありがとう…」
去年もこんな感じの料亭でお祝いして貰ったっけ、とサクラは思い出して小さく笑う。
「…で、昼間の続きなんだが。」
サスケの振った話が何だったか、いまいち思い出せずにいたサクラの様子を感じて切り出した。
「桜が満開で雲一つない空の日に小さい教会で結婚式を挙げよう。ブーケトスで女達の乱闘を少し離れた安全な所で俺とお前とナルトと三人で見て笑わないか?」
夢の中のシュチュエーションが蘇る。
サクラの理想の結婚式。
「…絶対晴れてないと嫌」
「良く天気予報と雲の様子を見ておく。」
「…ドレス、何着も着て良い?」
「何回でもお色直ししたらいい」
「…指輪はお給料何ヶ月分…?」
「もちろん、三ヶ月…嫌、一年でもいい。」
「…もう一回、プロポーズして?」
「あぁ。俺と結婚してください。」
サクラが質問する度に下を向き、いつ零れ落ちるか解らない涙を堪えていた。
「…私で良ければ、結婚してください」
ようやっとサスケを見たかと思うと既に何筋か涙の跡があった。
そしてまた次の筋が出来始めていた。
「お前しかいないよ、サクラ。」
誓いのキスを交わした。
「子供は何人欲しい?」
「一族復興出来る数だな」
「それ、何人になりますか…?」
HAPPY BIRTHDAY SAKURA
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