「そんな男止めてまえ」

目の前で、真子は、私の涙を拭いながら、言った。真子と目を合わせると、いつもおちゃらけた表情しかしないのに、酷く真剣な顔をしていたから、不意にドキッとしてしまった。

こんな状況なのに、真子とはずっと友達だと思っているのに、空気を読めない心臓を持つ私は、本当呆れるくらい、馬鹿だと思う。

「今、幸せなんか?」

真子は私に問う。

分からない。好きなのか情なのかも分からない。兎に角、満たされない。不満だけが積もる毎日に正直飽き飽きしている。なのにいざ離れようと思うと行動に移す事が出来ない。…一体私は、どうしたいんだろうか。結局、何がしたいのだろう。涙だけが止まらない。私の心は空っぽだ。

真子は、もう一度私の涙を指で拾い上げて、ゆっくりと私を抱き寄せた。真子はいつも私が泣きやまないと、こうやって抱き締めて、頭を優しく撫でてくれる。

(面倒臭いから泣くな)

ふと、いつもの彼の言葉を思い出した。私はそんな彼の言葉にチクリと胸を痛ませていた。不器用な彼なりの優しさなんだと思う。解っている。だけど…。




真子は、抱き締める腕の力を強くした。少し苦しかったけれど、私は何も言わなかった。


「…俺は、お前を泣かせる事せえへんで」

真子は息を吸い込み、


「俺んトコ来い。幸せにしたる」

と、私の耳元で言った。涙がとめどなく溢れる。





「好きや…」






こんな言葉を彼に言われたい。こうやって優しく髪を撫でて、強く抱き締めてほしい。その時の私は、世界で一番幸せだと、胸を張って言えるだろう。

やっぱり私は、彼でないといけないのだと実感させられる。










「…なんてな」

真子が、いつものおちゃらけた表情に戻る。

「あいつは不器用すぎんねん。でもちゃあんと、お前の事好きやと思うで」

真子はそう言って、私の頭を優しく撫でながら、ニヤリと笑った。

「…ありがとう」

真子の気持ちは分かっている。けれど、気付かない振りをして頼ってしまう私をどうか、



…どうか、許して。


fin

 _________後書き。
 私もきっと真子みたいな人が
 現れても、今の男をえらんで
 しまうんだろう。つって(笑)
 平子とくっついてなくて誠に
 申し訳ないですm(__)m彼とは
 一体誰なんだ!(笑)ていうか
 誰にしようかな。…拳西とか
 一角とか…わかんない!←え
 お相手はご自由にどうぞ(笑)
 拍手有難うございました!★






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