俺屍小説

□03当家の掟
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「きゃああぁあっ!?」

 普段から賑やかな雨月家の屋敷内で、これまた派手な悲鳴が響いた。雨月家の家事担当・イツ花だ。
 何事かと屋敷の者が悲鳴のした蔵に集まった。

「イツ花、どうしたの…って」

「これまた派手にぶちまけたな」

 七代目双樹を襲名した蘭丸と、彼の双子の弟・龍丸が口を開く。

「でも…イツ花は?」

 翠子が辺りを見回すが、悲鳴の主は姿が無い。眼前に広がるのは、防具や壷等の名産品が散乱する蔵だけだ。

「放置して逃げるなんて、イツ花らしくないな」

 照秋がそう言うと、名産品の山の中から

「助けてください〜」

とか細い声が聞こえた。

「きゃあぁっ!イツ花、無事ーっ!?」

「掘り起こせ!!」

 龍丸が叫び、全員で彼女を掘り起こす。額にたんこぶが出来てはいたが、どうやら命に別状は無いようだった。

「武器があるから、蔵の整理は気をつけてってあれほど言ったのに…」

 蘭丸がほっとしたという顔でイツ花に言った。

「はぃ〜。ご心配おかけしましたぁ;」

 蔵の前に座り込んで、翠子が持ってきた手ぬぐいでイツ花は額を冷やしてる。幸いにも彼女のトレードマークの丸眼鏡は割れていなかった。
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