D.A-2
□紅葉色
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(アンケ3位)
(ほのぼのKe)
その色は、とても鮮やかだった。
「―――あ、…」
「紅葉、だな。もうそんな季節か。」
ヒラリと舞う赤い葉に驚き、頭上を仰げば空に広がる紅葉色。それはとても美しくて、自分もそれに染まってしまうんじゃないかとさえ思うほど。
眼前いっぱいに広がる赤色は、瞳を支配していた。それは数秒の出来事だが、ずっと見ていた気がする。時間さえもが、止まった気がした。
「きれい…、」
「おっ、」
ヒラリヒラリと風に浚われ舞い落ちる葉の一つがキリの頭に引っかかる。今やキリの手中にあるそれは真っ赤に染まっていて、エルーがわぁ、とのぞき込むと、それはすぐにエルーに向かって差し出された。
「ほんとに綺麗だな、アンタにあげるよ。」
「え?良いんですか?」
「いーよ。そんくらい。」
ありがとうございます、と言いかけた所でエルーは息を呑んだ。顔を上げた時に重なる瞳。キリの瞳。それは真っ赤で、綺麗で、優しく自分を見つめていて、飲み込まれそうになる。
「ありがとう…ございます…、」
「どういたしまして。押し花みたいにしてしおりにでもしようぜ。」
そしたら、ずっと持ってられるだろ、
舞い落ちた葉の上を、舞い落ちる葉の中を手を引かれ歩いていくと、自分の顔が熱いのに気がついて、きっと鏡を見れば、それは――――
紅葉色
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そのしおりは何時までもエルーの読む本に重宝されます\(^O^)/
これってほのぼのですかね。
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