D.A-2
□散歩
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「晴れてる…」
「ほんとだー、やっぱコイツのおかげ?」
まぶしいほど綺麗な青い空に浮かぶ雲を窓から見上げながらキリとエルーは話していた。少し前に作ったてるてるぼうず。それを窓の縁から取って見る。歪な顔をしているが効果は抜群のようでなんだか嬉しくなって二人顔を見合わせて小さく笑った。
昨日話したのは"たまには二人で出掛けよう"ということ。ファランからは一刀両断、冷めた目で反対されたが裏道を歩くことや、あまり目立たないようにすること、危険な状態に陥った時の責任は自分たちが負うことと、それでも無理はしないことを条件に許可を得たのだが、なにせその時点で土砂降りの雨が降っていたのだ。そこでてるてるぼうずの登場、しっかり役目を果たしてくれた。
「準備出来た?」
「はい!あ、キリさん帽子かぶるんですね。」
「うん。変装変装!ちょっと楽しい、」
「(っていうかよくかぶれたなぁ…)」
そんな立ってるものを無理矢理納めてしまって果たして髪の毛の根元は痛くないのか、と思ったところで考えすぎか、と思考を止める。
そこで手に感じたいつもと違う感覚にどぎまぎした。
「……あっ、」
「あ、嫌だった?」
「いや…じゃないですけど…照れます…。」
「いいじゃん。恋人繋ぎなんて、そうそう出来ねーし。ファランせんせー!じゃあ俺たち行ってくるからー」
「…なんだお前ら、まだ行ってなかったのか?」
ガチャリと開けられたドアに立つファランはふむ、と手を顎に添えて感心したような表情を見せた。
「恋人らしさもサマになってるぞ。」
「…なっ!」
「…あぁあぁああぁあ…(ははは恥ずかしい!)」
「くれぐれも気を付けろよ」
好きなだけ言ってパタリと扉を閉めるファランを2人で恨めしそうに見つめながら微かに赤く染まった頬を見合わせて、またクスリと笑った。
「じゃあ、行くか。エルー」
「はい。キリさん。」
その手は固く絡められていて、2人は潔く前へと歩き出した。
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