D.A-2

□見つけた、
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(現パロ(?))




たった20分の昼休み。しかも生徒会の仕事も無くて、自分の好きなことだけに時間を使えるという。めったにない!ということで、どうせなら有意義に過ごしたいのと、借りたいと思っていた本を探そうと思うのとで、私、エルは図書室へと向かっていた。


「(図書室は涼しいなぁ…。)」


蒸し暑い校舎内にうんざりしていたのもあって、クーラーの効いている図書室に天国を垣間見る。しかし思えば外でサッカー等をする元気の有り余っているような男子達の元気をしばしの間借りたいくらい、それくらいバテていた。
それにしても静かな部屋。
数人の生徒に、図書室の先生。黙々と個人が自分のことをしている。自分もそのまま本を探すことにした。

今日見つけたかったのは趣味の一種であるが、既に古い文献であった為、なかなか見つからずにいた。


「(……ん?)」


その棚に行き着き暫く物色していると、目的の品では無かったものの、他の本の中でも特に古く、また小汚くて背表紙が剥がれ始めている本が目に入った。

「(なんで、こんな)」


古くて汚い本があるのだろう。果たして貴重な何かが書いてあるのか、気になるエル。
そしてそれを手に取り表紙を見た。


「(だ、ぶる…アー…つ?)」


金色の装飾文字で描かれていたのは"ダブルアーツ"という文字。何かの物語か、果たして何だろうか。作者が書かれていたであろう場所には所々消えていて"E"と"L"しか確認出来ない。
結局自分が出した答えは「(読めば分かる。)」という結論だった。そうして本を借りにカウンターへ向かう前に本についたホコリを簡単にはらって中身が気になる故に勢い良く振り向いて向かおうとした、
その時、

―ドンッ

「いてっ、」

「わっ、ご、ごめんなさい…!!」


どうやら人にぶつかってしまったようだ。お互いスピードがあったようで二人して尻餅をつく。自分の持っていた本もそうだが、相手の本も落ちてしまっている。
謝ろうと顔を上げるとそれは見慣れたクラスメートの姿だった。


「キ、キリくん!」

「いてて、派手にぶつかったな。大丈夫?」

「うん…。本当にごめんね!」

「良いって良いって。エルがケガしてないなら、」


キリはクラスの、いや学年の中でもどこか大人びていて、でもやんちゃなとこがあったりする性格、それで美術のコンクールでいつも賞を取ったり、でも運動神経も人一倍あって、何事も何なりとこなせるのに決して自慢とかしなかったりとかで、いろんな人から慕われるタイプ。キリを好きな女子も数多い。

そんなキリとぶつかってしまったのだ、罪悪感が残る中、自分じゃなく相手の安否を確認してホッとした表情を見ると自分の心がギュッと熱くなる。


「(って、本!!)」


もとはと言えば、自分の不注意だ、と思い落ちた本を拾おうと起き上がる。
キリの本に目を向けると青い漫画が目に入った。


「……え?」


見間違いかと思った。
自分にそっくりで、白い服を着た少女と、目の前のキリにそっくりな金髪の少年が表紙に描かれていて、その下には"ダブルアーツ"と書かれている。
なんだこれは、と思ってキリを見ると、彼は驚いた顔でも、笑顔でもなく、真剣な、でもどこか優しい目をしていて すぐに目が合った。
そして直感した。彼はこの本を知っているのだ、と。



「やっと、見つけたんだな、エルー…。」

待ってた。



そうして差し出された手は、何処か懐かしくて、手を重ねると強く引かれて抱き締められる。
学年1のモテモテに抱き締められているにも関わらず、冷静な自分が居た。
何故か、自分はこの温もりを知っているような気がして、
そしてキリは耳元で、震えた声で囁いたのだった。



「この手はもう、絶対に離さない…、」



その言葉に、
涙が零れたのは、この懐かしさのせいなのだろうか。








―――――――――――――

単行本一巻発売記念です!(^∀^)(何処が?と問いたくなります)


実は前世とか、そういうネタです。
所々に色んな要素が詰まっているので、ほんのちょっとだけ読み深めて下されば嬉しいです!(´∀`)こんなgdgdな文で何を読み深めるんだよwwって感じですがね…!!




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