Short Story
□桃太郎(前編)
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家に帰ってきたお爺さんとお婆さんは、リリアがいないことに慌てふためいていた。
家の周りを捜しても、姿・形もなかったが、そのかわりに何故か金棒が二本、壁に立て掛けてあった。
お爺さんとお婆さんは、鬼が連れ去ったのだと理解し、もっと世間のことを教えておくべきだったとひどく嘆き悲しんだ。
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リリアがいなくなって数日が経ったある日、
お爺さんが川で魚つりをしていると、
川の上流の方から大きな桃が流れてきた。
「こりゃまた驚いた」
お爺さんはそう呟くと、家にすたこらと走っていき、お婆さんを連れて戻ってきた。
その手にはあの金棒が握られている。
そして、
―ドドーンッ
こちらに向かって流れてきた桃に、まずお爺さんが一突きする。
―ドカッ
続いてお婆さんも一突き。
そして、せーので岸に上げた。
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