Short Story

□桃太郎(前編)
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昔々ある所に、
お爺さんとお婆さん、
それから栗色の髪をしたリリアという少女が住んでいた。



お爺さんとお婆さんは、たいそうリリアを可愛がり、大切にしていた。
だから、リリアは生まれてから一度も家の外に出たことがなかったので、世間知らずに育ったのである。






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ある日、お爺さんが山に芝刈りに、お婆さんが川へ洗濯に、リリアが家で炊事をしていた時だった。



―トントン


家の入口を叩く音がした。


リリアは、
お爺さん達が帰ってきたのだ
と思い、何のためらいもなく障子を開ける。


しかしそこには、一般的にいう鬼が二匹立っていた。


手には金属の棒を持っていて、いかにも怖そうだった…が、


「…あんた達、誰よ?」


リリアは鬼というものを知らないので、怖がるそぶりを見せない。


これには鬼達の方が驚いた。


「これは驚いた。我々を見て恐れないとは。」


「これは面白い。城に連れていくか」



そしてリリアは鬼ヶ島にある城に連れ去られてしまった。



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