After Story
□動揺
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―キキィッ
金属と金属がぶつかり合って生まれる嫌な音を立てながら、サイドカーは停まった。
「っ―」
リリアが側車から降り、何かを言おうとしたが、トレイズに手首を掴まれ何も言うことが出来なかった。
そしてそのまま教室まで手を引っ張って来られたリリア。
教室のドアを開けると、教室全体にどよめきが広がった。
「え…?あ、ちょっと離しなさいよ!!」
どよめきを聞いたリリアは、トレイズに手を掴まれていることに改めて気付き、顔を赤らめながらその手を勢いよく振り払う。
そして顔を俯かしたままのトレイズを睨むと、ここが教室だということも関係なしに、
「何であなた部活に入らないのよ!!あんなに誘われてたのに!失礼じゃないの!」
と、ベゼル語で怒鳴った。
「…いや、だってさ」
トレイズもつられてベゼル語で話す。
当然、その場に居合わせたメグ以外の者は、何を話しているかなんてさっぱり分からない。
「だっても何もあるか!!理由を言え!ワケを!」
そんなリリアを見てメグは、
「おーおー、夫婦喧嘩か?」
と、大きな独り言をロクシェ語で言った。
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