After Story
□居候
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「な、何?…!?」
動揺しながらも顔を上げたリリアの目の前を、サッカーボールが飛んで行った。
「………」
少しの間何が起こったか飲み込めなかったリリアだったが、
「…あ、ありがと」
と、トレイズに素直にお礼を言った。
「………」
それを聞いたトレイズは、心底驚いた様子だったが、
「すみませーん、そのボール返してくださーい!!」
というサッカー部員の、謝罪のカケラもない言い方にピキッときて、近くに転がっているボールを、
ドカッ
と、勢いよく蹴った。
「…ひっ」
当然の如く、蹴られたボールは、非常識な部員目掛けて飛んで行く…
はずもなく、ゴールに吸い込まれるように飛んで行った。
二人のところからゴールまで、およそ30メートルはある。
トレイズは、超ロングシュートをキメたのであった。
「「………」」
リリアとサッカー部員達は、ゴールネットに挟まっているボールをしばらくの間見つめていた。
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