藍〜story of possible〜
□ボーイ・ミーツ・ガール?
1ページ/6ページ
ここに碇シンジと云う名の少年がいる。
何処にでも居る中学二年生の少年であるが、何故か彼の周りには女性が絶えなかった。
美少女や美女、美老婆等、揺り籠から墓場までと無節操なまでに幅広い年齢層の女性達が彼を慕い惹かれていた。
恋人の居るシンジは、この状況に困ったように苦笑を浮かべるが、内心彼自身もこの状況に甘えていた。
自分の周りにいる人達は自分の事を愛してくれている。
自分へ無償で恒久的の愛を与えてくれる。
人一倍愛に飢えている少年は、恋人への罪悪感に蝕まれながらもこの快楽に享受するほか術を知らなかったのだ。
八方美人が目に余る状況に少年の友人は言った。
「センセ、このままじゃ刺されるとちゃうか?」
何時もの三馬鹿トリオの話題の流れから放たれたモノであり、彼や友人達もすぐに忘れ去った。
++++
ここに綾波レイと呼ばれる少女が居る。
何処にでも居るとはお世辞でも云えない美貌の持ち主の少女である。
彼女には恋人の少年が居た。
何処にでも居る平凡な少年であり愛し愛され、相思相愛の仲であったのは云うまでもない。
しかし、その関係が音を立てて壊れようとしているのに少女は気付いた。
恋人の少年が他の女性に現を抜かしているのだ。
一人や二人ならば、少女も許せた。
少女自身も過去に少年と少年の父親に親愛の情を抱いていた時期があり、それが無くとも少年にとっての一番が自分であると信じていたからだ。
だが、想いとは裏腹に少年との時間は減り、それに比例し寂しさで枕を濡らす時間が増えていくばかり。
「私は彼の一番ではないの?」
青白く光る月の中へと消えていく言葉と同じ様に、少女も夢の中へと旅立つのであった。