はじめの一歩
□御家族の心配
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「ただいまー」
佳織は夕方に帰って来た。
「おかえり。どうだったんだ?」
「うん、すっごく楽しかった!」
「そりゃあ良かった」
機嫌よく話す佳織に、達也は安心した。
「何だよ。お前らちゃんとデート出来んじゃん。で?何処行って来たんだ?」
「ビデオ見た後はね、外の空気吸おうかってちょっと散歩して、途中おしゃれなカフェがあったから入ったの。凄く眺めが良いオープンカフェ」
「へぇ…いい感じだな」
「そこで、いっぱい話した。宮田とこんなに語り合ったの、初めてなんじゃないかな?」
「そうか…良かったなぁ佳織」
達也は感慨深げに聞いている。
「うん。改めて二人で話してみるとね、価値観の違いとかで、ちょっとした議論があったりもしたんだけど…」
「うんうん」
「やっぱり最後は、レナード最高って事で話がまとまって、宮田は練習の時間だからジムに行…」「結局レナードじゃねぇか!!」
佳織が言い終わらないうちに、達也は大声で指摘した。
「お前ら…何処からどう見たって恋人達の優雅なティータイムだっただろうに……会話の中身が、よりによってボクシングか!」
「え…?何か駄目なの?」
「…このボクシングバカップルがぁ!!」
達也お兄ちゃんの心配事は尽きない。