はじめの一歩
□12月25日 0:00
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12月24日 クリスマスイヴ。
オレには特に関係ない日。
だけど、バイト先のコンビニでも、クリスマスグッズやケーキの予約販売などがあって、今日がその日だという意識だけはある。
先に仕事を終えた学生は、彼女とデートだとかで浮かれながらそそくさと帰っていった。
夜も更けて、だんだん店は暇になり……。
「お疲れ様でした」
帰ろうとした時、店長に何かを渡された。
予備で入荷したケーキだ。
「余ったから持って帰って」という事らしい。
はっきり言っていらねぇ。
しかもホールだぜ。
「…どうも」
仕方なく貰って、店を出た。
「どうするんだ…コレ」
冷たい風が吹くの中、何故かクリスマスケーキを持って歩くオレ。
イルミネーションで無駄に彩られた街が眩しい。
家に着くまでに何とか…
ケーキをどうするか考えていると、前方に見覚えのある人物を見つけた。
「…佳織?」