はじめの一歩
□気になるあいつ
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「はぁっ…はぁ…っ」
息を切らしながら、ふらふらになりながら、それでも、そいつは一生懸命オレの後をついてくる。
ロードワークで、こんなに後ろを気にしながら走った事があっただろうか…。
「なぁ」
一旦足を止め、振り返る。
「もうやめとけって。女のくせにオレについて来れるワケねーじゃん」
離れていた距離がだんだん縮まる。
「大丈夫…走るのは…好きだから…っ…」
荒く呼吸しながら、佳織はそう言った。
「走るのはよくても、体力が続かないと思うぜ?」
「…いいから…っ…早く行って…」
「…」
オレはロードワークを再開した。
何だよ。人が心配してやってんのに…。
ついて来れるもんならついて来いよ。
へばっても知らねーからなっ。