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□薄紅の影
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それからずっとずっと、ティナを守ってきた。
ティナが忘れたい事、悲しかった時、わたしは全部全部覚えてる。
でもだんだん、わたしが表に出られる時が短くなっていった。
あの機械だらけの場所を出て、いろいろな人たちと一緒に過ごすようになって。
痛い時も苦しい時も、わたしに変わる事が少なくなっていった。
ティナがわたしを必要としなくなった。
気付けばわたしの体はもう消えそうで。
わたしはティナを守るために生まれたのに。
ティナにいらないって言われたらどこに行けばいいの?
「この世から魔法が消えていく…」
誰かの声が聞こえる。
わたし、消えちゃうの?
いやだ
いやだ
いやだ
その時大きな手がわたしの頭を撫でた。
懐かしい温もりに振り向けばそこには
「おとうさん…」
強くて大きなおとうさん。わたしと同じ、火の力を持っている。
いつもわたしの側にいた。ティナを守っていてくれた。大好きなおとうさん。
でもおとうさんの体ももう消えかけて…
「帰ろう、ティナ」