Novels

□雪の記憶
1ページ/15ページ

雪が舞い落ちる空。街の蒸気と機械音。

これから向かうのは、私を縛りつけ、汚した者との戦いの場だ。

さくさくと雪を踏み分けて進む。
ここは魔力に満ちる土地だと、経験が告げている。それは私にとっても有利だが、これから戦う者にも同じ条件だという事だ。

―いや、相手の魔力の方が強力な分、こちらには不利か。


さく、さく、さく…


目の前に見覚えのある巻き毛が揺れる。柔らかな肩の線、細い手足。

「生まれながらに魔導の力を持つ少女… こんな所で再開するとはな…」

前を歩く彼女に語るでもなく呟いた。

「…私を知っているの?」

問いかけるティナ。やはり全てを忘れているのか。
その瞳はあの頃と変わらないのに、もう私に笑いかける事はない。

刻が経ちすぎた。

すべてを思い出す時がきたら、貴女は私を恨むだろうか。それとも―――
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ