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□蒼の牢獄
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―あの日、空は何色だっただろうか?


揺らぐ炎を見ながら、ぼんやりと思う。

繋がれた両腕。目に映るのは蝋燭の灯と、冷たい壁。石造りの壁は燈色の灯で照らされているにも関わらず、青い。

しんとした空気を鞭が切り裂く。
また、打たれた。金の髪が乱れる。切れた唇から血が落ちて石の床に模様を描く。

(きれい…)

鈍くなった思考に、それは思いがけず美しく見えた。無意識に唇の端があがる。

「何がおかしいっ!」
今度は胴に拳。反射で小さく声が漏れる。もう、痛みはないのに。

炎が、ゆれる。

窓ひとつない部屋。湿った空気が重い。

両腕は鎖に繋がれて、この石の牢は固く閉ざされている。ここは屋敷の地下にあり、この街は占領されている。
こんなにも何重に囚われているのに。

(…それでも私は、いま初めて“自由”だ―)
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