作品

□ストックに託した愛を君に
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最近、白蘭さんの顔を見ていない。
僕は研究で殆ど外に出ないし、いつもは向こうからやってくるはずの白蘭さんも、今は出張やらでしばらくは戻ってこない。


眠気に襲われた正一は、目の前の時計に視線を移すと今日が12月1日ということを知る。
しかし、何か違和感を感じた。
その違和感が何なのか、分からないまま正一はまた研究に没頭していった。

白蘭が、出張に行ってから一ヵ月が過ぎた。
いつもなら、正一会いたさにすぐ帰ってくるはずである。
三日と空けないコールも、今は無言のまま…。

自分から連絡を、と考えても何を話せばいいのか思い付かず、正一は研究に集中出来なくなっていった。

「入江様が電話をすれば、白蘭様は喜んで一人で勝手に話されると思いますよ。」

お付きのチェルは、口元に笑みを浮かべ何だか楽しそうである。

「何言ってるんだよ。
別に、声が聞きたいとかそんなんじゃないよ!」

正一は無意識に、とんでもないことを言ってしまったが、今の正一が気付くはずもなくチェルの笑みは深くなるだけだった。

12月2日午前0時。

2日になると同時に、白蘭から連絡が入った。
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