自殺
□自殺未遂
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私は疲れていた。
死ぬのにこんなに手間がかかると
思っていなかったからだ。
とりあえず、私は浴槽に浸かった。
お気に入りの、
無印良品のカッターを手にして。
体が温まってきたのを感じると、
私はカッターの刃を手首に当てた。
これで気持ち良く死ねる。
さよならしたい人物なんて、
浮かばなかった。
そして。
思い切り引き切る。
…溢れる血。
周辺の湯が赤く染まる。
「この傷は静脈に届いていない」
直感でそう感じた私は、
手首をカッターで何度も切り付けた。
幸か不幸か。
その頃毎日のように自傷を
繰り返していた私の皮膚は厚くなり、
なかなか脂肪の層にすら届かず、
既にある傷を掘り下げようにも、
取り乱し気味の私は
そこまで考える頭がなかった。
私は、また萎えた。
こうまでして死のうとする自分が、
馬鹿らしくなってしまったのだ。
私は、死ななかった。