legend

□旅立つもの
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人々は俺をを『勇者様』と呼ぶ。
俺の大昔の先祖が伝説の勇者、ミヤギだから。
それだけの理由だ。
ミヤギは剣の達人で魔法も使えたらしいが、俺は剣術はそこそこの腕だし、魔法なんか使えもしない。
平和な世の中に今更勇者なんか必要ない。この呼び名もニックネーム程度に過ぎないんだ。


「おはようございます勇者様、今日もいいお天気ですね」
「ああ、おはよう今日も平和な一日だよ」


村長の末娘リーズは毎朝、畑仕事する俺に声をかけて行く。

「勇者様が畑仕事するくらいに?」
「そうそう」


ふわりと笑うリーズ。村でも天使の微笑みと呼ばれる笑顔だ。


「豊年祭で勇者様の作ったお野菜を楽しみにしてますね」
「はは。普通、勇者ならもっとたいそうなコトするもんだろうなあ」
「畑仕事も立派だとおもいますわ」



のどかな日常。


先祖のミヤギによってもたらされた平和な日々は今日も変わらず保たれていた。
俺にできることは、一体何だろう?
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