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□君取扱免許
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世の中、人には得手・不得手がある。
最近その言葉を身を持って実感した。
女中らしからぬ女中。それが私だ。
「お茶をっ、お持ち、しま、・・・した。」
なんでこんなに息切れしてるかって?それは、目の前のこの人のせいですよ。
めっちゃくつろいでるよ、腹立つよ。
「遅ェ。」
「60秒なんて無理ですよ!!」
湯を沸かすだけでそんな時間は過ぎ去る。無理だと分かっててやってるのだろうが。
この人の印象、とにかくS。
この人との出会いは、数日前。お忍びで城下に来ていたこの人にぶつかった上、私はこの人を睨んでしまったのだ。
あぁ、過去の私を殴り飛ばしたい。
多少私に非があったことは認めよう。しかし、しかしだ。久しぶりに食べるはずの団子が一瞬で消えれば、誰だって頭にくるはずだ。
まして、ぶつかった相手が一国の主など、誰が思おう。
「だ、大体、言ったじゃないですか!私を扱えるのは私だけだって!」
「I foget.忘れた。」
都合のよろしい頭でございますね。元より、私は私以外の誰かのために働くことを良しとはしません。
人として、それはどうかって?ま、そこはそっとしておいてください。
「って、なんか近くないですか?」
「Ah?気のせいだろ。」
気のせいかぁ・・・
「・・・って気のせい、違ーーう!」
・・・しまった。今、バキッって言った。
「Honey?」
「ごごごごめんなさい!今のは純粋な殺意が・・・あ。」
さらには口が滑りました。自分って馬鹿だなぁって思いました。(あれ?作文?)
こうなったら・・・
開き直ることにしました。
「じゃ、許可書をください。」
「license?」
「いや、分からない。」
「誰のだ?」
「私を使うのは・・・うん、まぁ、我慢します。・・・うん。」
「・・・。」
睨まんでください。私なりの譲歩です。
「だから、私に政宗様を使える免許証ください。」
「何で免許書なんだよ。」
「異国では何かするには免許が居るとか何とか・・・」
「really?」
「だからね、異国語分からないんですって。」
頭大丈夫?この人
痴呆?
痴呆か?
もちろんダメ元です。
「OK。」
「ですよねぇ。・・・ん?」
「ほら。」
サラリと筆が紙を走り、一枚の紙が差し出されました。
「え、いや・・・いいんですか?」
「ただし」
政宗様は笑いました。
「忘れるなよ?You're mine.」
「異国語は分かりません。」
本当に訳が分からない人だと、改めて思います
君取扱免許
(これ、小十郎様の方が有効活用してくれそうですよねぇ・・・)
(Stop!)
(・・・。小十郎様ー!)
【密か事】様に提出