小説置き場
□そっと触れるだけ。
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俺の彼女はキスをしてくれない。
まぁ、俺から勝手にするんだけど…
それじゃあ面白くない。
たまには君からして欲しい。
「ねぇ、キスして。」
「え?」
「だから、なつきから、俺に、キスして?」
「…どどど、どうして!?」
ほら、案の定照れて変な動きしてる。
「たまにはさ、なつきからしてくれてもいいんじゃないかなって。俺ばっかりしてるからさ…なつきは俺の事…そんなに好きじゃないのかなって。」
我ながら女々しいと思いつつ、きっと彼女が一番弱いであろう事を言う。
「なつきは、俺とキスするの、嫌?」
「いっ、嫌じゃ…ない…よ?」
「じゃあ、してくれる?」
「うっ…うん…。」
――チュッ。
「上出来。じゃあ、もっとして。」
「えっ…もっと…?」
すっと、彼女の耳元に出来るだけ低い声でささやく。
「そんなんじゃ、足りない。もっと深いのくれないと。」
そっと触れるだけなんて、物足りない。