小説置き場
□壊れる
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「もっと、僕だけの事を見ろよ。他の奴なんて視界に入れるな。不快だ不快だ不快だ不快だッ!君が僕以外の事を考えている時間も、君も、相手の奴も、全てが不快だ。君は僕以外何も、何にも要らないんだ。僕だってそうだ。君が僕だけを見ていてそばにいてくれるなら、僕はそれだけで十分だ。」
岸辺露伴。
漫画家。
彼は元から、壊れかけていた。
不安で、怖くて、でも逃げられなくて…
だから、彼にはヘブンズドアーというスタンドが表れたのだと思う。
きっと今みたいに、
ずっと繰り返して、
…そして終わるたびに
彼は壊れていく。
「君は、僕に何を見られたっていいだろう?」
「僕だけ知らない君がいるなんて許せないッ!」
簡単に言えば、度の過ぎた嫉妬。
自信などなく、本当は卑屈で疑い深く嫉妬深い。そして、プライドが高い。
「露伴くん」
「君はいつも楽しそうにほかの男と話して、どれだけ僕を不安にさせたら気が済むんだ。本当は分かっていてやっているんだろう?
僕がやきもきするところをみて、裏ではバカな男だと嘲笑っているんだろう?」
「露伴くん。」
「あぁ、君をどうやって引きとどめておけるのか…そうか、君が死ねば…
君が死んでしまえばそんな心配もしなくて済むというわけか…。」
「私は露伴くんに殺されてもいいけれど、出来るなら生きて側に
居たいんだけどなぁ。」
ぽつりと呟いてみたら、彼ははっとした顔をして、また、壊れた。
「君が死んだら、僕は、壊れてしまう。」
もう壊れていることすら気付かない、そんな君がとても愛おしい。