小説置き場

□海と空
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私は、空が好き。
貴方は、海が好き。

どんなに頑張っても、空と海は交わらない。
触れられない。

まるで…今の私達みたい。
【空と海】


なんて皮肉なのかしら。
「…何を考えいるんだ?」
「空と海の事。」

「……?」


あぁ、意味が分からないと訴えるその表情すら愛しい。
ガンを飛ばしていたとしても、今の私には、愛しくてたまらない。



「あのね、空と海は同じ色で輝きあって、目の前にいるのに…絶対に触れられないから…悲しいなあって。」

「悲哀な考えだな。」

「別に、惨めな考えじゃないよーだ。」

「…やれやれ。」

お決まりの台詞、ありがとうございますー。

「なによ。」

「絶対に、空と海は繋がらねぇ、そう思ってるのか?」

「?当たり前じゃない。繋がるなんて…無理よ。」


今の私と、貴方の距離みたい。
目の前に居るはずなのに、何処か遠い。
叶わないのよ、生憎私は可愛くて素直な女の子じゃないもの。



「空から、海への気持ちが溢れるとどうなると思う?」

「承太郎、案外ロマンチックな質問するのね。」
「やかましい。質問に答えろ。」

「……分かんない。」
気持ちが溢れたら…悲しくなるよ。

「雨になる。」

「…あめ?」

「あぁ。」

なんで雨になったら、繋がるのかなんて分からない。


「なつき気持ちが溢れると、泣きたくなるんだろ?なら、雨は涙。」
「なみだ…」

「涙を流した瞬間、空と海は雨で繋がるんだ。」


承太郎って、メルヘン?
なんて考えてたら、承太郎の顔が少しだけ赤かった。


「…つまり、アレだ。空はお前で、海が俺だ。」

「どういう事?」


「互い、ずっと相手を見て居る…だからよぉ…」
「うん?」




「お前が好きだ。だから…俺に隠れて泣くな。」








(結論。空と海は、繋がれます。愛してさえいれば、どんなに遠くだろうと、繋がれます。その証拠に、貴方は私の事、良く見てるわ)

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