小説置き場

□約束
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私が望むのは、いつだって貴方の幸せだから。

「貴方は、どんな時でもヒーローでいて。約束よ。」

そう言って、置いていってしまうのは凄く、心苦しいけれど、きっと貴方なら大丈夫。
幼い楓を置いて行くのはとても、可哀想なことをしてしまうけれど。

「友恵…」

あぁ、ごめんなさい。
貴方にはもう、私が見えないのよね。

「…っ…と…もえ…うっ…。」

きっと、初めて見たのかもしれない。
楓が生まれたとき、嬉し泣きをした貴方。
結婚をして、感極まって涙目になった貴方。

悲しみで涙を流す、貴方を、私は初めて見た。


もう、貴方に触れることはできないけれど、きっと心は繋がっているから、そっと抱きしめる。

「友恵、ごめん…俺…」

いいの、それはね、私も望んていたことなんだから。
なにも貴方が謝る必要はないのよ。

「寂しい思いさせて…しかも、こんなときまで、一人で…」

バカね。
私が貴方に行かないで、なんて言ったら貴方、行かなかったでしょう?
そんなの嫌だもの。
私は、貴方がヒーローで居てくれるなら、それでいいのよ。
皆のヒーローでも。
ちゃんと、私のヒーローでもあるんだから。


「お前の事、守ってやれなくて…いっつも…いっーつもさ、貰ってばっかりでさ。好き勝手やって、俺のわがままも聞いてくれてさ。ごめん。本当に…ごめんっ…」

そのまま私だった体の手を握り、泣いている貴方。


「バカね、虎徹は。私だっていつでも、貰ってたのよ。貴方から…たくさんの愛情。だから悔やまないで。悲しまないで。」

「友恵!?」


――だって約束したでしょう?


「貴方はどんな時でもヒーローでいて。約束よ。」
「俺は、どんな時でもヒーローで居る。約束だ。」





ありがとう、虎徹…。



さようなら。また、ね。







――――――

映画の挿入歌を聞きながら突発で。
何度となく、あのシーンでこういう妄想を膨らまし過ぎて泣きました。

あの夫婦、好きです。


(2012.11.02)

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