小説置き場

□お掃除しましょ
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不規則な生活をしていると、どうしてもおろそかになる部分が出てくる。

いや、仕事では手を抜くつもりはないし、抜いてたまるかってんだ!

しかし、毎晩毎晩家に帰ってくると思うことはいつも同じで・・・

「うわぁ〜ホント掃除しねぇとな・・・絶対にやばいって。」


俺、鏑木・T・虎徹の家は、汚いのである。






―――


「あのさ、虎徹さん。一つ聞いても良い?」
「んあ?なんだ?」

アポロンメディアのヒーロー事業部で働いている同僚、なつき。
普段はぼーっとしているように見えるが、仕事はやるときはやる女だ。

まぁ、俺と同じで努力は見せないっていうスタイルなんだろうな、うんうん。

「虎徹さんの部屋、どうよ?」
「どうよって、おまえ・・・あーあれだよ、汚い・・・よ?」
「あーまた?この間掃除したときからそんなに経ってないのに?」
「だってさー」
「はいはい。今日もお掃除させていただきますので、出動がない限りは直帰でお願いします。そしてついでに私も運んでください。いいねすね?」

月1のペースで俺の部屋を掃除してくれる。
まぁ、ただの同僚ってわけじゃないんだけど・・・。

なんか、母ちゃんみたいだな、最近。

「なんだか私、最近虎徹さんの恋人っていうより家政婦さんとかメイドさんに近いよね〜?」
「いやいやいや!!ちゃんとね、お礼はさせていただきますよ?」

つっても、俺が作れるのは俺特製のチャーハンだけど。

「またチャーハンでしょ?安寿さんにまた叱られるよ?」
「っだ!母ちゃんの話はいいの!だって、俺チャーハン好きだし・・・」

ってか、チャーハンしか作れないし。

「じゃあ、私が掃除中に買い物に行ってください。夜ご飯、作ってあげますから。」


そういって、にこっと笑った。
ちくしょう、可愛い。
ここが会社じゃなきゃ、抱きしめたいところだが・・・

―ぽん

「ありがとうな。」
「いいえ、っていうか、いつまで頭撫でてるんですか?髪の毛ボサボサになるんですけどー」

ちょっとキツめな目つきで睨まれたので、慌てて手を頭の上から離した。










―――――

「ただいまー!」
「お邪魔しま・・・きったない!!」
「うぉっ!いきなりかよ!」
「だって!服が山作ってるし、あっちこっちにビンやら缶やら転がってるし、何よりも洗い物!!これいつから溜めてるのよ!!汚い!」

家に入って早速ギャーギャーと怒り出したなつき。
こりゃ、早々に退散しないと今以上に怒られる。

「あーなつきちゃん?そのー俺、お使い行ってくるから、その、頼んでもいい?」

「はい、居ても邪魔なので!はい。このメモに書いてあるもの買ってきてください。1〜2時間程は帰ってこないでください!」
「え、あ、はい。すんません。じゃあ、行ってきます・・・」
「はい。・・・えっと、とりあえず先にリビングからかな・・・」

既に俺のことなど視界に入ってませんと言わんばかりに掃除の準備に入っていた。

俺はこれ以上居ても仕方ないので、掃除は任せて買い物に向かった。



――2時間後。


「・・・ただいまぁ〜・・・!!うわっ!超綺麗!」

帰ってきて驚愕した。

いつも入り浸るリビングが、誰ん家だよって思うくらい綺麗になっていた。
ビンや缶はもちろん、こりゃ髪の毛一本たりとも落ちてないくらい。

だだっとコーヒーテーブルに、買ってきたものをドカドカっと乗せ、二階のロフトに繋がる階段をみる。その流れで、ベッドルームが見える。
一階で見ているだけでも綺麗になっている。

そこら辺に掛けていた服やらパンツやらがなくなっていた。

「あぁ、お帰りなさい。ふー!やり切った!」
「なつき!!あーーりーーがーーとーーー!!お前最高!素敵!ここドコ!俺ん家!?マジですごいんですけど!!」
「あははっ、そこまで喜んでくれるとやっぱ、やりがいあるわ〜」

ふと笑っているなつきの足元を見ると、でかいゴミ袋が4〜5個転がっていた。

「おぉ、いっぱいゴミ袋出たな!」
「これが全部部屋に転がってたんですよ?もう。」

ほっぺをぷぅーっと膨らませて、両手を腰に当てて、今から怒りますよーっていう体勢になっているが、俺からみれば、とても可愛らしい。

「悪い悪い。」
「絶対にそう思ってないですよね!?」
「思ってるって!ほら、お礼のちゅーーー」

ベシッ!

「いってぇ!」
「そんなに痛くないです!ご飯作るまで虎徹さんは待機!」
「ちぇっ。」

俺の行動を見透かしたかのように、待てを命令された。俺は犬か!

「材料から見るに、和食?」
「うん。お味噌汁に、小松菜のお浸しと、カレイの煮付けにサトイモの煮っ転がしと、出汁巻き玉子!」
「おっ、うまそう!でーも、その前に・・・」

なつきの後ろにまわって、完全ホールド。
首筋に軽くキスしてやれば、ほら。

「なっ、ちょっ・・・こ、虎徹さんってば・・・やっ」
「掃除してくれてありがと。おじさんお礼がしたくてたまんないんだけど?いいよな?」
「よ!良くない!ごはん作るからだめー!」

もう一押し。

耳が弱いのは知っている。
耳を隠している髪をかき上げ、うんと色っぽく言ってやる。

「おじさん、もう我慢できないんだけど、いいよな。」

言い切ってやれば、もう後は簡単。

「で、でも・・・」
「いーから。ほら・・・」

そのままキスしてやれば、トロンと解けたような表情になる。

「な?いいだろ。」
「もう・・・知らないっ・・・」


そのまま早速、綺麗にしてもらったベットへ直行。
その後、散々叱られたのは・・・言うまでもなかった・・・。





――――



映画で虎徹さんの部屋の汚さに、驚いたけど、お家に帰るともっとびっくりしたんだぜ!←この人も汚かっただけ。

虎徹さんのお家を掃除する前に、自分の家やれよって感じです…。とほほ

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