お題作品

□愛されたまま死んだ彼女に、私は一生追いつけない
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報われない片思いなんて、していて意味があるのだろうか?
私はよくそれを考える。

だって、付き合えるとかそういう見込みが全くない。
ほら、今だって

「…はぁ。」
窓の外を見ながら、らしくないような溜息。

私に気付いて!
私に気付かないで。

心の中で響く矛盾な叫び。

私は貴方が好きだということに気付いてほしい。
でも、気づかれてしまえば、今まで通りには…友達としてはもう居られない。

「花村。」
「…ん?おー春咲かー何だ?」
「べっつにー。今日の放課後ひま?久しぶりに遊ぼうよ。」
「おっ、いいね!最近お前と遊んでなかったし、行くか!」
「花村のおごりね。」
「なんで俺なんだよ!」

声をかければいつもの調子。
無理やりテンションあげてるんだろうな、なんて思いながら、それが嬉しかったりもする。

「そーいやさ、お前、隣のクラスの奴に告られたんだってな〜どーしたわけ?」
…触れられたくないというか、あんたに一番言われたくなかった。
「別に。あんまり知らない人だったし断ったよ。好きな人居るからって。」
「マジで!?つかお前好きなやつとか居たのか!?」
アンタだよバカ!
「そういったら大体って引いてくれるかなって思っただけ。」
「口から出まかせ?」
「まぁ、そんな感じかな。」

「きっとお前にもイイ奴現れるって!俺が保証する!」
親指を立てて、私の一番好きな笑顔で、一番残酷なことを言う。

「…あんたに保証されたって…嬉しくなんかないバカ。」
「なんだとー!」


愛されたまま死んだ彼女に、私は一生追いつけない

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