お題作品
□きみが壊れてゆく
1ページ/1ページ
ずっと、知っていた。
「あのね、シーザー、私…」
あぁ、神はなんと酷いのだろうか。
「私、ジョセフのことが…」
頼む、それ以上は言わないでくれ。
君の、君の口からその言葉は聞きたくない。
ずっと否定してきたその事実を、どうか俺の前に突きつけないで。
「好きなの。」
あぁ、もう、後には戻れない。
「そうか、やっぱりか。」
「えっ?」
「あはは、お前、見てて分かりやすいからなぁ〜?」
顔を真っ赤にして何それと、下を向いて照れている顔を隠すが、隠し切れていない。
「…知ってるよ見てたから」
ずっと…ずっと、君だけを。
「えっ、なに?」
「いや、まあ、アイツも鈍感だからな。頑張れよ」
頑張れなんてこれっぽっちも思っていないのに、俺の口先は、
なんて適当なことを言うのだろう。