SONG NOVEL

□星空
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揺らめく陽炎は夢の跡 闇を恐れて眠り行く街
小さな喜びは瓦礫の上 星を見る僕はここで生まれた












星空











星が、綺麗な夜だった。






倶東国。

昔から争いが絶えず、血を流し続ける国。


そんな国を、亢宿は少し小高い場所から見下ろしていた。


亢宿は長めの茶の髪を風に揺らし、街を見ていた。
灯りはほとんどついていない。
絶えない紛争のため、ほとんどの家が灯りをつけていないのだ。


亢宿は哀しい瞳をしてため息をつく。

すると、後ろに人の気配がした。


「…角宿…」


亢宿が振り向いた先には、自分とほとんど同じ顔をした双子の弟、角宿が立っていた。


「何してんだ?こんなとこで。」

「ん?ちょっと、街を見ていたんだ。」

「街?」


角宿は亢宿に歩み寄り、隣に座る。


「灯りが…全然灯ってないから…。」

「…あぁ…。」


煌めく星空と対称的に、街は闇に墜ちていた。


角宿は知っていた。
争いによって、街に灯りが全くないことを。
亢宿が、争いが嫌いだということを。

この双子の兄が、誰よりも平和を願っている。
誰よりもみんなの幸せを願っている。


「ねぇ…角宿。」






窓辺に貼ってある君の街 そこはどれくらい遠くに在るの?







「この国はいつ平和になるのかな?」


亢宿の言葉が角宿の胸を突く。


自分は、亢宿が笑ってくれるだけでいい。
幸せでいるだけでいい。

けれど、亢宿は違っていて。

みんなの笑顔を願っている。
みんなの幸せを願っている。


だからこんな哀しい顔をして、自分に問い掛けるのだ。


「兄キ…」







ねぇ 鮮やかな夢見る世界へと
目覚めたら変わっていると良いな








「ねぇ…どうして人は傷つけあうの?」


愛する力 きっとあるのに
誰でも一人じゃ寂しいはずなのに







角宿は、その問いに答えることは出来なかった。

ただ、亢宿の手を、強く、強く握っていた。










ねぇ 降りそそぐ夜空が綺麗だよ
いつの日か君にも見せたいから
目覚めたら変わっていると良いな
争いの終わった世界へと








words&music:hyde
song by L'Arc〜en〜Ciel
『星空』







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