SONG NOVEL

□one flesh
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こんなに遠くても
忘れていないよ
心は近くに
いつも感じてる







one flesh














ただいま12月。
俗に言う受験シーズン。
あたしは今そのまっただ中にいる。


真菜、悠、可那美が目指す地元の高校に行きたいんだけど、どうやらあたしの学力じゃ難しいようで…。


必死に勉強中ってわけ。


「数学なんて解るわけないじゃん!!」


あたしはとうとう数学の問題集を投げ出した。
頭ん中数字と記号が駆け回ってて気持ち悪い。

窓を開けて、風にあたることにした。


「…電話、してみようかな…。」


あ、真菜は今日家庭教の日だっけ。
悠と可那美は塾…。






電話しても 留守電ばっかりで…
急に ひとりぼっちになったみたい
すぐに会えない 距離がもどかしい
お互いに 忙しい日々










あたしはため息をついて、また机に向かった。

しょうがない。
今は頑張るしか。


4人で一緒に合格するために。










時間はもうすぐ12時。
そろそろ寝なきゃな…。


すると、机の隅に置いてた子機が鳴った。



電話…?
こんな時間にいったい誰が…。



あたしは不思議に思いながら電話を取った。


「もしもし?」

『あ、まいちゃん?』

「真菜?!」


その声の持ち主は真菜だった。

多分家庭教が終わったんだろうな。


「どうしたのこんな遅くに?」

『んー?あのね、今度の日曜みんなで勉強会しよ!』

「勉強会?」

『うん。もうすぐ共通テストもあるし。しかもまいちゃんギリギリでしょ〜。』

「うるさいなぁっ!判ってるよっ!!」


自分は余裕だからって〜!!


『だからさ、みんなでやろうって決めたの。久しぶりにたくさん話したいしね。』


真菜は、少ししんみりした声で伝えた。



…あぁ。
そうか。


みんなも、淋しかったんだね。



『だからさ、やろうって言ってんだけど、来るよね?まいちゃん。』

「うん!もちろん!」

『良かった。じゃ、またね!』

「うん!またね!」





「じゃ またね!」を繰り返して
僕ら 今日と明日をつないでいる





そうしてあたしは電話を切った。
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