SONG NOVEL

□叙情詩
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季節は色を変えて幾度巡ろうとも
この気持ちは枯れない花のように揺らめいて
君を想う―…






叙情詩






「哲ちゃん。」

「ん?」


君が名前を呼ぶ。
それにオレが答える。
いつものように。
それはいつも変わらぬ日常。


「隣、いってもいい?」

「いいよ。おいで。」


そう言って唯は、オレの隣に座った。
オレが肩に腕を回すと、唯は体重を預ける。


「哲ちゃんこの間のレポート間に合ったー?」

「うっ…それ聞くなよ〜。」

「…間に合わなかったんだね。」

「違う!間に合ったけど中身足りなくて再提出に…」

「変わらないよ。」


唯が、楽しそうに笑う。



奏で合う言葉は心地よい旋律
君が傍にいるだけでいい



「…唯」

「ん?」

「笑うように、なったな。」

「…うん…」


唯は少し悲しげな瞳をオレに向けて、ぽつりぽつりと話し始めた。


「笑えるようになったのはね…美朱と…みんなのおかげだよ。」


そして、寂しそうに微笑った。

その『みんな』というのは、唯のために生命を失った人達。

異世界の人。

きっと今も護ってくれているのだろう。
きっと今も見守ってくれているのだろう。

知ってるから。
判ってるから。

彼らはきっと、この子が優しくて、繊細で、とてもいい子だってことを。


「なぁ、唯。」

「なに?」

「その中に、オレは入ってないの?」


意地悪く聞くと、笑ってオレに抱きついた。


「哲ちゃんも入ってるよ。」


瞳を合わせて。
優しく微笑って。


「ありがとう、哲ちゃん。」

「ん。」



微笑んだ瞳を失くさない為なら
たとえ星の輝きが見えない夜も



傍にいるよ



「それがオレの誓いだから。」

「ん?何か言った?哲ちゃん。」

「いや、何も。」


そう言ってオレは、唯を強く抱き締めた。



降り注ぐ木漏れ日のように君を包む
それが僕の変わらぬ誓い






ずっと護るよ
ずっと傍にいるよ


ずっと、君を想うよ。








季節は色を変えて幾度巡ろうとも
この気持ちは枯れない花のように揺らめいて
夢なら夢のままでかまわない
愛する輝きに溢れ胸を染める
いつまでも君を想い






words:hyde music:ken
song by L'Arc〜en〜Ciel
『叙情詩』







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