SONG NOVEL

□瞳の住人
1ページ/2ページ




数えきれない…でも少しの歳月は流れ
いったい君の事をどれくらい分かっているのかな?












瞳の住人













「アスコット!ちょっとその辺散歩しない?」


そうウミに誘われて、僕はウミはセフィーロ城の周りを散歩する事にした。


「今日は良いお天気ね。風が気持ち良いわ。」

「そうだね。」


そんな他愛ない会話をしながら、穏やかな陽射しの中を歩いていく。

ウミは僕の少し前を行き、花や木々を見ている。



…ウミと知り合って、ずいぶん経った。

最初僕はとても幼くて、大切な友達を傷付けてばかりいた。

そんな僕を叱ってくれたのは、ウミだった。


ウミと出逢って、たくさんの『大事な事』を知った。
ウミが僕に、それを教えてくれた。



ねぇ、ウミ。
知ってた?



君が、僕をここまで変えてくれた事。





「ねぇ、アスコット。ちょっと休憩しましょう?」


振り返り木陰に座っている、ウミを見た。

長い髪が陽の光に反射して、綺麗だ。


「良いよ。」


僕は隣に座り、ぼんやりと空を見上げた。



こんな時間を、いったいどれくらい過ごしただろう。

ウミが居て、隣に僕が居て。



何とも言えない幸せな気持ちになる。



数えるには長く、思い出すには短い時間を、ウミと過ごしてきた。

僕はいったい、どれくらいウミの事を知っているのかな。





「…アスコット。どうしたの?気分でも悪いの?」

「え?」

「さっきから黙ってばかりいるから…。」


不安そうにウミは僕を見つめた。


「そんな事ないよ。ただ…」

「ただ?」

「幸せだなって、思ってただけ。」


そう言うと、ウミは微笑って「そうね」と返した。





そばにいて
ずっと君の笑顔を見つめていたい
移りゆく瞬間を
その瞳に住んでいたい





真っ直ぐなウミの瞳に、僕が映っている。

ただ、それだけで



「幸せだね。」

「えぇ。とても、幸せ。」






どこまでも
穏やかな色彩に彩られた
一つの風景画の中
寄り添うように
時を止めて欲しい


永遠に











words:hyde music:tetsu
song by L'Arc〜en〜Ciel
『瞳の住人』





次ページ あとがき
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ