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□とある昼下がり、お茶会開始時間にて。〜優想〜
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夢現つに、誰かが傍にいる事を確認した。

でも、その気配はあまりにも心地よく、優しかったから、そのまま眠り続けた。





とある昼下がり、お茶会開始時間にて。〜優想〜







どれくらい眠っただろう。まだ意識が朦朧としていて、はっきりとした思考が無い。


ぼんやりとしていると、聞き慣れた声が、聞こえた。


「導師、起きられましたか?」

「…プレセア。」


目の前には、プレセアが椅子に座り読書をしていた。


「…何をしている?」

「少しばかり導師のお部屋の本を借りていました。」


確かに、よく見ればプレセアが持っている本は自分の部屋に置いてある本。
セフィーロに昔から伝わる伝説や言い伝えなどが書かれているものだったと記憶している。


…いや、違う。
自分が聞きたいのはそこじゃない。


「…何故、お前が此処にいる?」

「あ…えっと…それは…。」


ようやく自分が答えを求める質問に行き着いたのに、当の本人のプレセアは、言葉を濁し始めた。



「その、お茶会が始まったので呼びに来たのですが…。」

「…あ…。」


そうだ。
すっかり忘れていた。

いつの間にか眠っていて、その事をすっかり忘れていた。


「…そうか。それはすまない。」

「あ、いえ。導師がお目覚めになられたら行こうかと考えておりまして…。」

「…気を遣わせて悪かった。」


内心しまった、と思った。出来るならみんなに迷惑はかけたくなかったし、心配させたくなかった。

特に、目の前にいる人物には。


それが何故かは判らなかった。
でも、プレセアには、何故かそういう気持ちが、他の人よりも強かった。


「これからどうします?」

「…え?」

「お茶会、行きますか?」


プレセアが笑顔で問いかけてくる。

一瞬行こう、と答えそうになったが、口を閉じた。


「いや、いい。」

「…そうですか。」


それを聞くと、プレセアは優しく微笑んだ。



…そうだ。



「私が茶を入れる。」

「えっ、導師?!」


席を立つと、プレセアが慌てた様子で自分を見た。
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