短編夢

□真面目な彼と悪戯猫の囁き
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私の言葉は届いているのでしょうか…?
気づかないふりをしているのですか?それとも、わざと…なのですか?


『一さん、そろそろ放してくださいませんか?』

「………」

『か、会社に遅れてしまいますよ!』

「………」

『一さん!!』

「今日は休む」

『馬鹿言わないでください!今日は大事な会議があるって…昨日……』

「気のせいだ」

『気のせいじゃないです!!』


昨日の夜、会議について土方さんと電話をしていたのをよく覚えている…
それに、その会議のためにいつもより一時間早く出かけると言っていた…なのに、会社に行く用意が整ったとたん…私を後ろから抱きしめたまま放さないのだ


『一さん…どうしたんですか?』

「昨日……総司から聞いたのだが、家に泥棒が入って千鶴が危なかったと…」

『え?』

「総司が千鶴を助けたから無事だったと聞いた」

『一さん…泥棒なんて来てませんよ。昨日は沖田さんも来てませんし…』

「!!」

『心配、してくださったんですね…ありがとうございます//でも、大丈夫ですから…会社に行ってください』

一さんは大きくため息をついてから私を放してくれた…が、今度は正面から抱きしめられた

「何かあったら、すぐに俺を呼べ」

それだけ言うと今度こそ私を放して、「いってくる」と言いながら鞄を持ち、玄関へと向かった


真面目な彼と悪戯猫の囁き


心配してくれたことが嬉しくて、一さんが可愛くて…『いってらっしゃい』と言いながら少し笑ってしまった



……会社に行った一さんに沖田さんが怒られたことを私はまだ知らない





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