短編夢

□虹のその先
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先輩の髪色と同じ色の空が広がっていたのに
どうして…


『雨降ってるの…!』


朝、カーテンを開けて見上げた空は、私の好きな色で…気分は最高だった

当てられる授業もなく、お昼は食堂のおばちゃんに、デザートをオマケしてもらって…
部活も今日は調子よく、全部的に当たった


なのに、なのにっ!

『傘なんて持ってきてないよ…』


月子ちゃんは生徒会があって、今日は部活を休んでいる
傘に入れてもらうこともできない…


「どうしたの?鍵閉めちゃうよ」


『あ、雨が弱まるまで…残ってもいいですか?』


「もしかして、傘忘れちゃったの?」


『…はい』


「じゃあ、僕の傘に入って一緒に帰ろう?……僕と相合い傘は嫌、かな?」


『嫌じゃないですっ!!』


「ふふ…じゃあ行こうか」


弓道場を出て、先輩が傘を広げる
いつもより近い距離
速まる鼓動
雨音が私たちの周りの音を消して、2人別世界にいるような気がする


「なんだか不思議だね…僕たちしかいないみたいだ」


先輩が同じことを思っていることが嬉しくて、この時間が幸せすぎて…このまま時が止まればいいのに、なんて


「今日はみんなが早く帰ってくれてよかった…」


『どうしてですか?』


「みんながいたら、こんな風に帰れないないでしょ?ずっと2人で帰りたかったから」


『それって、どういう意味ですか…?』


「ふふふっ…知りたい?」


虹のその先



耳元で囁かれた言葉に
私の足は止まった
そんな私を見て先輩が笑うと…太陽が顔を出して虹を作った



(僕、ずっと好きだったんだ…キミのこと)







end.




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